小論文の基礎知識

医系小論文を書く前に
知っておくべきこと

採点基準・出題パターン・書くときのルール・よくある減点ポイントをまとめました。 練習を始める前に一度読んでおくと、上達のスピードが変わります。

小論文とは何か

小論文とは、あるテーマについて自分の意見を、客観的な根拠とともに論理的に述べる文章です。 感想文・作文(「感じたこと・経験したことを自由に書く」)とは根本的に異なります。

小論文感想文・作文
主体論理と根拠感情・体験
問われること客観的な説得力個人の感受性
構成PREP法など論理的構成自由
評価される要素根拠の妥当性・論理の一貫性表現の豊かさ・独自性
口語・感想調NG(「〜と思います」は使わない)OK

医系小論文で特に重視されること

  • 医師視点:「社会全体で取り組む必要がある」ではなく「医師として何ができるか」が求められる
  • 医療倫理:自律尊重・善行・無危害・公正の4原則を背景に考える
  • 知識の正確さ:医学的・政策的に誤った情報を断言すると大幅減点

採点基準(6観点・100点満点)

essAIのAI採点はこの6観点で評価します。各観点の配点と意味を理解しておくと、どこに力を入れるべきかが見えてきます。

設問への応答・理解
20

設問が何を問うているかを正確に把握し、全体を通じてそれに応答できているか。複合テーマの場合は全要素に答えているか。

対策書き始める前にテーマを分解する(STEP1)。「問われていること」と「書いたこと」が一致しているか、書き終えた後に確認する。
論理的思考力・説得力
20

主張に根拠があるか。根拠は客観的か(感情論・思い込みでなく事実・データに基づくか)。論理の飛躍がないか。

対策「なぜなら〜だからだ」と根拠を明示する。「〜と思う」ではなく「〜である理由は〜だ」と言い切る。
文章構成
20

序論・本論・結論が明確か。PREP法(結論→理由→具体例→結論)で論が展開されているか。段落のつながりが自然か。

対策書き始める前に構成メモを作る(STEP3)。結論を最初と最後の両方に書く。
語彙力・表現力
15

だ・である調で統一されているか。一文が60字以内か。口語表現・感想文調がないか。主語と述語がねじれていないか。

対策「思います」「でしょう」「〜ではないでしょうか」はすべて「〜である」「〜と考える」に置き換える。
内容・知識の正確さ
15

医学的・社会的に正確な情報か。数字・制度名・概念が正しく使われているか。誇張や誤りがないか。

対策知識が薄いキーワードは使わない。「〜と言われている」「〜という調査がある」と留保をつけることも一つの手。
医師視点・独自性
10

「医師として具体的にどう行動するか」が含まれているか。他の職種でも書ける内容になっていないか。

対策「医師として〜に取り組みたい」という一文を必ずどこかに入れる。「研修医として」「将来専門医として」でも可。

※ ④語彙力・表現力(15点)と⑤内容・知識(15点)は配点が小さく見えますが、ここの失点が①〜③の評価も引き下げます。基礎的な日本語と正確な知識は最低限整えましょう。

出題パターン(6型)

医系小論文には大きく6つのパターンがあります。型を把握しておくと、テーマを見た瞬間に「どう構成するか」がわかります。

問題解決型〜の問題点と解決策を述べよ

ある医療課題の「現状・原因・影響」と「解決策」の2部構成が基本。問われているのは解決策の具体性と実現可能性。

ポイント解決策に「医師として自分ができること」を必ず入れる。現状説明だけで終わらない。

出題例

  • 医師不足の現状と解決策を述べよ
  • 救急医療の問題点と解決策を述べよ
意見提示型〜についてあなたの考えを述べよ

特定テーマに対して自分の立場・意見を示す。答えに「正解」はないが、根拠の客観性と論理の一貫性が評価される。

ポイント意見を先に述べ(PREP法)、感情論でなく事実・データで根拠を示す。

出題例

  • 医師の働き方改革についてあなたの考えを述べよ
  • 在宅医療の推進についてあなたの考えを述べよ
賛否論述型〜に賛成か反対か述べよ

どちらかの立場を選んで論じる。「どちらでもある」という中立は原則NG。選んだ立場の理由を2本以上立てる。

ポイント反論を先に想定しておき「たしかに〜だが、それ以上に〜」と乗り越える構成が評価される。

出題例

  • 安楽死の合法化に賛成か反対か述べよ
  • 医療費窓口負担の引き上げに賛成か反対か述べよ
事例倫理型〜の場合、あなたはどう対応するか

具体的な医療場面を提示し、対応を問う。医療倫理の4原則(自律尊重・善行・無危害・公正)を軸に考える。

ポイント「自分ならこうする」という主体性が必要。感情的な共感だけでなく、倫理的根拠を示す。

出題例

  • 延命治療の中止を求められた場合どう対応するか
  • インフォームドコンセントが得られない場合の対応を述べよ
自己表現型理想の医師像・志望理由を述べよ

主にマッチング試験で出題。「なぜ医師か」「どんな医師になりたいか」を具体的に述べる。抽象的な理想論では評価されない。

ポイント「〜したい」という願望で終わらず、「そのために研修でどう取り組むか」まで踏み込む。

出題例

  • あなたが考える理想の医師像を述べよ
  • 当院を研修先として選んだ理由と目指す医師像を述べよ
知識論述型〜の意義と課題を述べよ

医療概念・制度・技術について知識があるかを問う。概念の説明→意義→課題→医師としての対応、という流れが基本。

ポイント知識がない場合は書かないほうがよい。誤った情報を自信満々に書くと大幅減点。

出題例

  • EBMの意義と限界を述べよ
  • 地域包括ケアシステムの意義と課題を述べよ

書くときのルール

小論文には守るべき形式的なルールがあります。内容が良くてもルール違反があると大幅減点になります。

だ・である調で統一する

「思います・です・ます」は使わない。「〜である」「〜と考える」「〜が求められる」に統一。

一文は60字以内

60字を超えたら「。」で分割する。長い一文は主語と述語がずれやすく、読みにくい。

段落の冒頭は一字下げる

手書きの場合は必須。Webアプリでは段落間を一行空けることで代替できる。

結論を最初に述べる

「私は〜と考える。」で書き始める。導入で背景説明だけ書いて結論を後回しにするのはNG。

接続詞を適切に使う

「なぜなら」「しかし」「したがって」「一方で」など。ただし使いすぎると読みにくくなる。

固有名詞・数字は正確に

「約46兆円(国民医療費)」「原則1〜2割(後期高齢者窓口負担)」など。うろ覚えなら使わない。

よくある減点ポイント

採点者が思わず赤ペンを走らせるパターンを整理しました。「これ自分もやっているかも」と思ったら重点的に練習しましょう。

設問への応答

  • テーマの一部しか答えていない(複合テーマで片方を無視)
  • 「〜について述べる」とだけ書いて、何を述べるかを明確にしない
  • テーマと関係のない知識を長々と書く

文体・表現

  • 「〜思います」「〜でしょうか」「〜感じます」などの口語・感想文調
  • 「〜するものがある」「〜と思われる」などの曖昧な言い回し
  • 一文が80字以上(読みにくく、論理も追いにくい)
  • 「です・ます調」と「だ・である調」が混在
  • 主語と述語のねじれ(「問題点は〜を整備する必要がある」など)

論理構成

  • 導入で背景説明だけして結論が遅れる
  • 理由を述べずに結論だけ繰り返す
  • 具体例だけが長くて理由・結論が薄い
  • 前半と後半で主張が矛盾している

内容・知識

  • 医学的に不正確な情報を断言する(「〜は治る」「〜は危険」など根拠なし)
  • 「不要な受診が医療費を増大させている」など一側面だけを原因として断定
  • 患者を揶揄・見下す表現(「気軽に病院に来すぎ」など)
  • 解決策が「医師を増やせばよい」など表面的すぎる

医師視点

  • 「社会全体で取り組む必要がある」で終わり、医師として何をするかが書かれていない
  • 「〜したい」という願望だけで、具体的な行動が書かれていない

基礎を確認したら練習へ

知識は練習の中で定着します。まず1テーマ書いてみましょう。